
インプラント・コラム
インプラントのこだわり
インプラントの構造と種類 〜図で理解〜
🔧 インプラントの基本構造
インプラントは「インプラント体(人工の歯の根)」+「アバットメント(土台)/ヘッド部分」+「被せ物(セラミックの歯など)」で構成されます。
この「インプラント体とアバットメントのつなぎ方(接合方式)」と「どこに・どの深さに埋めるか(埋入位置)」によって、機能性・見た目・長期安定性が変わります。
アバットメントの接合方式:外付け vs 内部接続
🧩 タイプ別イメージ
① 外付けタイプ(エクスターナル/外部接合)
インプラント体の上にアバットメントを外側から差し込みます。
歴史が長く、多くの症例で使われてきた方式。
➡ ただし、構造上「すき間(=マイクロギャップ)」が避けられず、噛む力や微妙な動きが続くとそのあたりに炎症がおきたり、周囲の骨(辺縁骨)が少しずつ溶けたりするリスクがあります。
② 内部接合タイプ(インターナル)
インプラントの中にアバットメントをはめ込む構造で、外からは接合部が見えません。
このなかでも、**「テーパー/コニカル(円錐)型接合」**が重要な進化です。
➡ コニカル接合では、インプラントとアバットメントが「きつくはまる」ため、微小な動き(マイクロムーブメント)が起こりにくくなります。その結果、接合部の炎症や骨の吸収を抑え、長期的な安定性を高める設計。
➡ また「プラットフォームスイッチ」という考え方(インプラント径に比べてアバットメント径を小さくする)を併用すると、さらに辺縁骨の吸収を減らす効果が期待できます。
✅ つまり、内部接合(とくにコニカルタイプ)は「骨を守りやすい」「長持ちしやすい」というメリットが大きい、というのが最近の主流です。
埋入位置の違い:ボーンレベル vs ティッシュレベル/それぞれの特徴
📊 埋入位置イメージ
| 埋入方式 | 特徴 |
|---|---|
| ボーンレベル | インプラント体を顎の骨の中に埋める方式。被せ物やアバットメントで歯肉のラインを調整できるため、前歯など見た目重視の部位に向く。 |
| ティッシュレベル | インプラントの首部分が最初から歯肉の上〜歯肉レベルまでで構成され、清掃しやすさや歯肉の管理に優れる。奥歯など見た目より機能性・清掃性重視の部位に向きやすい。 |
💡 ボーンレベルが骨造成を行うケースにも適している理由
顎の骨が少ない場合、人工骨や骨誘導再生(GBR)などの「骨造成」を行ってからインプラントを埋めることがあります。そうした場合、骨の中にインプラントを埋めるボーンレベル方式は、骨との親和性・骨の安定維持という意味で適した選択肢となります。
また、骨の質や形状、骨量の回復具合を見ながら、被せ物の形をきれいに仕上げられるのも利点です。
埋入時期や治療ステップ:個別に調整
インプラントをいきなり入れる「即時埋入」から、ある程度骨や歯肉を休ませてから入れる「遅延埋入」まで、患者さんの 骨の状態・歯肉の状態・感染リスク に応じて調整されます。
また、インプラント体をいったん入れ、骨との結合(オッセオインテグレーション)を待ってから被せ物をつける「二段階法」が安全性・安定性の点で選ばれることもあります。
こうした “いつ入れるか/どのタイミングで被せるか” も、患者さんの状態に応じて 柔軟に設計される治療 です。
なぜ「内部接合(コニカル)+ボーンレベル」が注目されているか
内部コニカル接合であれば、アバットメントとの接合部のすき間が最小化され、マイクロギャップからのバクテリア侵入を減らせる → 周囲の骨の溶け(骨吸収)やインプラント周囲炎のリスクを抑える。
ボーンレベルでの埋入は、被せ物や歯肉のラインを自然な形に仕上げやすく、審美性や骨・歯肉の長期維持に向いている。特に、骨造成が必要なケースなどでは安定性の点で優れている。
つまり、「骨・歯肉の健康」「見た目」「長期の安定性」を全部かなえたい場合に、この組み合わせは非常に有効、という理解になります。
✅ まとめ(患者さんに伝えたいこと)
インプラントにもいろいろな種類・方法があり、「どれがいいか」は患者さんの口の中の状況によって変わる」。
最近は 「内部接合(コニカル)+ボーンレベル」で骨を守りつつ、見た目や機能性も重視 する方法が多くなってきている。
ただし、骨の量・質、歯肉の状態、清掃のしやすさなどによって、ティッシュレベルや別の方式が適している場合もある。
どの方法が最適かは、歯科医師とよく相談しながら決めることが大切。










