インプラント・コラム
骨が足りなくてもインプラントを諦めないで
インプラント治療の普及とともに、「骨が足りないから無理」と言われた患者さんがセカンドオピニオンを求めて来院されるケースが増えています。特に上顎臼歯部は、すぐ上に副鼻腔が広がっており、繋がって炎症を引き起こしてしまう可能性があり、インプラント埋入が困難になることがしばしばです。
そのような場合に有効なのが、「上顎洞挙上術(サイナスリフト)」です。今回は60代男性の臨床例を交えながら、治療の流れと注意点について解説します。
サイナスリフトとは、簡単に言うと、上顎洞を上に上げて、その間の骨を足すことでインプラントを入れることが出来る骨の厚さを作るものです。
【症例紹介】
患者さんは64歳男性。左上6番の抜歯後、義歯の不安定さから別の治療を希望されて来院されました。
CTで確認すると、残存骨高は約4mmと非常に少なく、通常のインプラント埋入は困難でした。
サイナスリフトにより、上顎洞を慎重に挙上し、約2ccの骨補填を行いました。約6ヶ月後の再評価で骨造成が良好に認められ、直径4.8mm×10mmのインプラントを埋入。
【サイナスリフトの利点】
骨造成量が大きい
側方アプローチでは5mm以上の骨高が必要な症例でも対応可能で、インプラントの長期安定性が期待できます。幅広い適応症
極端に骨が少ない症例でも、段階的に治療を進めれば成功に導けます。補綴設計の自由度向上
適切な位置・角度で埋入できるため、最終補綴の審美性・機能性の面でも有利です。
【まとめ】
サイナスリフトは、難症例におけるインプラント治療の可能性を大きく広げる手術法です。
今回のような骨高が4mmしかないケースでも、段階的に計画を立てて処置を行えば、良好な長期予後が期待できます。
骨が足りないからといって諦める前に、適切な診査と治療法選択によって、患者さんのQOLを向上させる道は開けるのです。
インプラントでお困りの方は当医院までご相談ください。
井高野あおぞら歯科
大阪市東淀川区井高野3-2-40 1階
06-6827-1919