
インプラント・コラム
歯性感染症(歯から広がる顔や首の腫れ)の怖さ
―放置すると命に関わることもあります―
「歯ぐきが腫れてきたけれど、痛み止めで様子を見ていた」
「ほっぺたやあごまで腫れてきた」
このような症状は、歯性感染症(しせいかんせんしょう)と呼ばれる状態かもしれません。軽く見られがちですが、場合によっては命に関わる危険な病気です。
歯性感染症とは?
歯性感染症とは、虫歯や歯周病、親知らずの炎症など口の中の感染が、顎や顔・首へと広がった状態をいいます。
主な原因は以下の通りです。
重度の虫歯による歯の根の感染
親知らず周囲の炎症(智歯周囲炎)
歯周病の悪化
抜歯後や外傷後の細菌感染
どんな症状が出る?
感染の広がり方や深さによって症状は異なりますが、代表的なものは以下です。
顔や首の腫れ(片側または両側)
発熱・寒気
強い歯や顎の痛み
口が開きにくい(開口障害)
飲み込みにくい、息苦しい(重症例)
特に、首の奥(咽頭や気道周囲)まで炎症が及ぶと、呼吸困難や敗血症などの命に関わる状態になることがあります。
怖い合併症:ルドウィヒ・アンギーナ
下顎の歯から首へ感染が広がると、**ルドウィヒ・アンギーナ(口底蜂窩織炎)**と呼ばれる重症感染症を引き起こすことがあります。
これは舌の下や首の軟組織が急速に腫れ、気道が塞がれて呼吸困難を起こす危険な状態です。入院や点滴、場合によっては気管切開が必要になります。
治療と対応
歯性感染症の治療は、感染源の除去と抗菌薬による全身管理が基本です。
抗菌薬(内服または点滴)
感染した歯の抜歯や根管治療
膿の排出(切開排膿)
重症例は入院管理・全身麻酔下での処置
実際の症例
50代男性、虫歯を放置し、頬の腫れと発熱で来院。CT検査で下顎から頸部にかけての膿の広がりを確認。即日切開排膿と点滴治療を行い、入院加療で回復。
患者さんは「もっと早く歯科に行っていれば…」と反省されていました。
予防と早期発見が命を守る
歯性感染症は、「歯の腫れくらいで大げさに…」と思っているうちに悪化することが多い病気です。
腫れや痛み、発熱があるときは我慢せず、早急に歯科または口腔外科を受診してください。
当院では、CTや血液検査による迅速な診断と、必要に応じた日帰り切開や病院連携による入院治療も行っています。
「たかが歯の腫れ」と思わず、早めの対応で命を守りましょう。







