インプラント・コラム
ドライソケットってなに?
抜歯後、最初は順調だったのに、数日経ってから突然ズキズキと強い痛みに襲われた——。
それは「ドライソケット」と呼ばれる、抜歯後に起こる代表的な合併症かもしれません。
ドライソケットは、下顎の親知らずの抜歯後に比較的多く見られる症状で、患者さんにとっても非常に辛い状態です。今回はこのドライソケットについて、原因から予防、治療まで詳しく解説します。
■ ドライソケットとは?
通常、歯を抜いた後には、抜歯した穴(抜歯窩)に「血餅」と呼ばれる血のかたまりができます。これは“かさぶた”のような役割を果たし、傷口を覆って保護しながら自然に治っていきます。
ところが、なんらかの理由で取れてしまったりすると、骨や神経が露出した状態になり、激しい痛みを引き起こします。これが「ドライソケット」です。
■ ドライソケットの主な症状
抜歯後2〜5日目から痛みが悪化
ズキズキとした激しい痛み(鎮痛薬が効きづらいことも)
口臭が強くなる
抜歯した穴がむき出しで、白く見えることがある
顎のだるさ、首やこめかみへの放散痛
特に、一度落ち着いたと思った痛みがぶり返すのが特徴です。
■ なぜ起こるの?ドライソケットの原因
ドライソケットの原因は、血餅が失われることにあります。以下のような行為がリスクを高めます:
強いうがい、すすぎを繰り返す
抜歯直後にストローを使う・唾を強く吐き出す
喫煙(ニコチンは血流を悪化させます)
血液が固まりにくい体質や薬(抗凝固薬など)
抜歯が難しく、手術時間が長引いた場合
また、下顎の骨は上顎よりも硬く、血流がやや悪いため、下顎の親知らずで発生しやすい傾向があります。
■ ドライソケットになったらどうする?
ドライソケットは放置しても自然治癒しますが、回復までに2〜3週間かかる上、強い痛みが続くため、我慢せず歯科医院での処置が重要です。
当院では、以下のような処置を行います:
抜歯窩の洗浄と消毒
痛みを抑える軟膏や鎮痛剤の塗布
必要に応じて抗生剤の追加処方
こまめな経過観察と処置の継続
これにより、痛みを緩和しつつ、早期の回復をサポートします。
■ ドライソケットを防ぐためにできること
患者さん自身でやっていただきたい予防策もいくつかあります。
抜歯当日は強くうがいしない(軽くゆすぐ程度でOK)
当日は安静にし、激しい運動・長風呂・飲酒は避ける
喫煙は最低でも3日間控える
処方された薬は指示通りにきちんと服用する
食事は反対側でやわらかいものを選ぶ
術後の説明をしっかり聞いていただき、指示通りに過ごしていただければ、ドライソケットの発生リスクは大きく下げることができます。
■ まとめ
ドライソケットは抜歯後の思わぬ痛みの原因ですが、正しい知識と予防を行えば、多くの場合は回避できます。
「痛みが長引く」「抜歯したところがズキズキする」という場合は、放置せずに早めの再受診をおすすめします。
当院では、抜歯後のケアも含めて最後までしっかりフォローいたします。不安なことがあれば、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。