インプラント・コラム
インプラントで骨が足りないと言われた方へ
歯周病、長期欠損、抜歯後の骨吸収などにより、インプラントの埋入に十分な骨幅・高さが確保できないことはよく見られます。
こうしたケースにおいて、インプラント治療を可能にするのが「GBR(Guided Bone Regeneration:骨誘導再生法)」です。今回は、50代女性の臨床例を通じて、GBRの役割と成功の鍵をご紹介します。
【症例紹介】
患者さんは53歳女性。左下6番欠損にインプラント治療を希望して来院。
CT検査の結果、このままでは適切な太さのインプラントが埋入できない状況でした。
治療計画として、同部位にインプラントと同時にGBRを行う「同時GBR」を選択しました。インプラント埋入後、露出部分に自家骨と吸収性人工骨を混合して足しました。術後は感染予防のための抗菌薬投与と定期的な消毒を実施しました。
4ヶ月後、再開窓時に良好な骨再生が認められ、最終補綴を6ヶ月後に装着。審美的・機能的に安定した経過を辿っています。
【GBRの主な目的と適応】
GBRは、インプラント周囲の骨欠損や吸収がある部位において、人工骨や自家骨を用い、メンブレン(人工膜)で覆うことで骨の再生を誘導する手法です。特に以下のようなケースに有効です。
骨幅が不足している部位
骨高さが不足している部位
インプラント埋入に支障のある骨の陥凹や欠損部位
【GBR成功のための重要ポイント】
感染コントロールと無菌操作
骨再生領域は非常にデリケート。細菌感染を防ぐことが成否を大きく左右します。メンブレンの安定性と被覆性
メンブレンのずれや露出は失敗の原因となるため、骨補填材の確実な固定と粘膜の緊密閉鎖が不可欠です。十分な治癒期間の確保
再生骨が成熟するまでの期間は、一般的に3〜6ヶ月程度。焦らず待つ姿勢が大切です。
【まとめ】
GBRは、インプラント治療の適応範囲を広げる非常に有用な術式です。骨が足りないからといってインプラントを諦めるのではなく、最新の再生療法を活用することで、患者さんにとってより良い治療選択肢を提供できます。
インプラントでお困りの方は当医院までご相談ください。
井高野あおぞら歯科
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