導入
失った歯を補う治療として、天然の歯に近い噛み心地を再現できる「インプラント」。非常に優れた治療法ですが、外科手術を伴うため、全身の健康状態が成功の鍵を握ります。 特に「糖尿病」や「骨粗鬆症」などの持病がある方は、事前の慎重な確認が必要です。なぜこれらが影響するのか、口腔外科の視点で解説します。
1. 糖尿病とインプラントの関係
糖尿病の方は、血糖値のコントロールが不安定だと、以下のリスクが高まります。
感染症にかかりやすい: 傷口の治りが遅くなり、インプラント周囲炎(細菌感染)を起こすリスクが上がります。
骨との結合が遅れる: インプラントが骨としっかりくっつくのを妨げることがあります。
ただし、「ヘモグロビンA1c」などの数値が一定の基準で安定していれば、手術は可能です。内科の主治医と連携しながら進めることが成功のポイントです。
2. 骨粗鬆症の薬を飲んでいる方へ
骨の薬(ビスホスホネート製剤など)を服用している方は、特に注意が必要です。
顎骨壊死(がっこつえし)のリスク: 非常に稀ですが、抜歯やインプラント手術などの外科処置をきっかけに、顎の骨が細菌感染を起こし、組織が死んでしまう副作用が報告されています。
お薬手帳の提示: 服用期間や薬の種類によってリスクが変わります。必ず初診時にお薬手帳をお見せください。
3. 「口腔外科」だからできる安全な管理
当院では、治療前に詳細なカウンセリングと血液検査などのデータを確認します。 持病があるからといって、すぐに「インプラントは無理です」と断ることはありません。お薬の休止が必要か、あるいは別の治療法(ブリッジや入れ歯)が安全か、医科と密に連携を取りながら「お体にとって最善の選択」をご提案します。
結び
インプラントは「歯だけの治療」ではなく「全身の治療」の一部です。持病をお持ちの方こそ、外科処置に精通した口腔外科で、リスクを十分に理解した上で治療を受けていただきたいと考えています。