―粘液嚢胞(ねんえきのうほう)の切除手術について―
「唇の内側に、いつの間にか小さなふくらみができていた」「つぶれるけど、またすぐにふくらんでくる」
そんな症状に心当たりはありませんか?それはもしかすると、**粘液嚢胞(ねんえきのうほう)**かもしれません。
粘液嚢胞とは?
粘液嚢胞は、唇や頬の内側、舌の裏などにできる良性の袋状の腫れです。唾液腺の一部(小唾液腺)の出口が詰まったり、傷ができて唾液が周囲の組織に漏れ出したりすると、その部分に唾液がたまって腫れを起こします。
触るとぷにぷに・プヨプヨしていて、やや青白く見えることもあります。
放っておいても大丈夫?
粘液嚢胞は基本的に良性で、命にかかわるような病変ではありません。ただし、多くの場合は自然には治らず、何度も繰り返してふくらんだり、誤って噛んでしまい出血したりすることがあります。
さらに、まれに粘液嚢胞に見えるものが、別の腫瘍性疾患やがんである可能性もあるため、自己判断せずに歯科・口腔外科での診断が大切です。
切除手術の流れ
当院では、粘液嚢胞が疑われる場合には以下のような流れで対応します。
問診と視診・触診
いつからあるか、痛みや出血の有無などを確認し、粘液嚢胞かどうかを判断します。必要に応じてレントゲンや超音波を併用します。局所麻酔をして摘出
患部に麻酔をかけ、粘液嚢胞とその周囲の小唾液腺ごと完全に切除します(再発防止のため、周囲も含めて除去することが重要です)。縫合して終了(5〜10分程度)
手術時間は短く、日帰りで可能です。翌日消毒させていただきます。
切除後は一時的に腫れることがありますが、多くの方は数日で落ち着きます。
実際の症例
10代女性、下唇の内側に直径5mmほどのふくらみを自覚し来院。粘液嚢胞と診断し、日帰りで切除。術後の腫れや痛みは軽度で、1週間後に抜糸し、再発なし。患者さんからも「思っていたよりあっという間でした」とのお声をいただきました。
気になるふくらみはまず診てもらいましょう
口の中の粘膜は自分では見づらいため、小さな異変を見逃しやすいものです。
「痛くないから様子を見ようかな」と思っていても、繰り返すようであれば早めの診断・処置がおすすめです。
当院では口腔外科専門の体制で、粘液嚢胞の切除を含めた日帰りの小手術に対応しています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。